The Beatles

(SWBO 101)

発売日 1968年11月25日

 イギリスでの発売から3日遅れて発売されたアメリカ盤。9週連続1位を記録した。また、アメリカではこのアルバムからモノラルの発売が無くなったため、当時のアメリカのファンはミックスの異なる曲が多いモノラルを聴くことが出来なかったのだ。付属品についてはイギリス盤と同じく、ポスターとピンナップ4枚がついている。「The Beatles' Story」があるので、アメリカでは初の2枚組アルバムとはならなかった。

 このアルバムのアメリカ盤は非常に奥が深く、収集しているといろいろと興味深いことがある。ここではそんな「The Beatles」アメリカ盤について、少し長めに書かせていただきたい

 まずこのアルバムの大きな特徴であるシリアルナンバーについてだが、アメリカ盤のシリアルナンバーだけ、いくつかパターンが存在するのだ。ナンバーの頭には文字や記号が打たれているのだが、イギリス盤ではそれが「Nº.」1パターンなのに対し、アメリカ盤は「」「A」「」「Nº.」「No.」の5パターン。頭に何も付かないナンバーもあるので、アメリカ盤のシリアルナンバーは6パターンであるたいていは7桁のナンバーだが、若いナンバーの中には稀に3桁のもの(例 027、100)がある。  

 パターンの振り分けについてだが、私が約5年間海外のオークションやショップを覗いて集めたデータと一般的に知られている情報を踏まえて、まとめてみる。ちなみに私が集めたシリアルナンバーは、全て画像で確認できたものに限る。

出回っている情報 実際に採ったデータ (例外)
 A0000001

 A0000001

0000002~0000025

 

A 0000004, A 0000023

(011, A0000005)

   026~100

027, 032, 100, 

(0000100)

   0000101~0210000 0000236~0209423
0210000~0578000 0217412~0576837
0590000~1360000

0581174~1373559,

(A1257824, A1332337,

A1369123)

A1380000~2010000 A1391518~A2009904
2010000~2050000

2010437~2047036

(A2013797, A2016309,

A2017741, A2018801,

A2045652)

 

2052290, 2052987,

A2055533~A2067180

A2070000~2460000

A2071869~A2451540,

(No.2270063, No.2281392,

No.2283349,

No.2377678~No.2394218)

No.2480000~2500000  
Nº.2500001~2680000

Nº.2503946~Nº.2673605,

(No.2564162, No.2600104,

No.2624016, No.2632734,

No.2638211,

No.2652925~No.2660974,

No.2670979)

No.2800000~3000000

No.2802417~No.2999581,

(A2831078~A2875900)

3000001~3130000

3009191~3125915,

(A3013502~A3032342,

Nº.3043001,

A3077420~A3079059,

A3096801, A3116706)

  A3158460

 

 

 こうしてまとめてみると、何となくだがパターンが固まっているのがわかる。なぜ色々とパターンが変えられたのかは不明だが、こんなにも違うパターンがるので、どうやら故意であることは間違いなさそう。何も頭につかないもの、「」はロサンゼルス、「A」、「No.」はスクラントン、」、「Nº.」はジャクソンビルのプレス工場に送られたと言われているので、印刷所によって違っていた可能性が高い。それぞれ2つずつのパターンであるが、これはそれぞれの印刷所での初回出荷分と追加分ということなのだろうか。

 表にもある通り、確認できたナンバーでは「A3158460」が最大である。また、「100」については3桁のものと7桁のものが存在し、「1」は関係者にだけ記念に何枚か作られたらしい。パターンの割り振りについてはある程度出回っている情報通りのようだが、やはり例外も多い。

 もう一つ謎なことは、連番の情報が全くと言っていいほど無いことである。若いナンバーではいくつかデータがあるのだが(それでも1桁のナンバーだけ)それ以降での話は聞いたことがない。数を飛ばして打たれていたのだろうか。 

 当時どのようにナンバーが打たれていたのかは今となっては不明だが、それだけこのシリアルナンバーについては研究のし甲斐がある。また、この謎多きシリアルナンバーこそが、収集していて一番面白いところなのである。

 次に盤についてだが、レーベルにもいくつか特徴がある。まず曲目の「Rocky Raccoon」が「Rocky Racoon」と綴りが間違っていること。これはしばらくの間ずっと間違ったままである。さらに初版のレーベルでは加えて、 「Ob‐La‐Di Ob‐La‐Da」が「Obladi Oblada」、「The Continuing Story of Bungalow Bill」が「Bungalow Bill 」、「Why Don’t We Do it in the Road?」が「Why Don’t We Do it in the Road」、 「Revolution 1」が「Revolution No. 1」、「Revolution 9」が「 Revolution No. 9」、「Good Night  」が「Goodnight」と6つの綴り間違えがある。この6つについてはすぐに直された。

 マトリクスについても色々とある。たまたまジャッキーロマックスのアルバムを作るために、ロサンゼルスのキャピトルレコードに来ていたジョージが、プレスされたばかりの「The Beatles」を試聴したのである。しかしその盤には、キャピトルが独自にミックスしコンプレッサーとリミッターによって音が変えられたものが収録されていた。これにジョージは怒り、該当する盤の破棄を命じたのである。該当する盤に打たれたマトリクスは「33」まで。販売されたのはマトリクスが「34」以降の盤である。そんな興味深い盤であるが、現在でもごく稀に見つかることがある。それはスクラントンでプレスされた該当盤の一部が、破棄を免れたためである。破棄を免れた盤のマトリクスは、例として(B29/B28/A28/B29)など28や29を含むものであることが多い。 

 最後にスペーサーについてだが(スペーサーについてはイギリス盤のページでも触れている)、アメリカ盤のスペーサーは何色か確認されており、ベージュ、ブルー、イエロー、ピンク、ブラウン、ホワイト、グリーンなどがある。




 

 ピンナップはイギリスの物よりも少し小さいサイズで、所々トリミングにも若干の違いがある。

 

 

 

 

左下には「PRINTED IN U.S.A.」のマークがある。


 

マトリクス SWBO-1-101-B37: / SWBO-2-101-B35

 

 「Obladi Oblada」、「Bungalow Bill 」、「Why Don’t We Do it in the Road」と綴りミスがある初版。マトリクスも破棄対象のマトリクスに近い。ロサンゼルスの工場でプレスされたものである。


 

マトリクス SWBO-3-101-B37: / SWBO-4-101-B35

 

 「Revolution No. 1」、「 Revolution No. 9」、「Goodnight」と綴りミスがある初版。1枚目同様ロサンゼルスの工場でプレス。マトリクスも1枚目と似ている。2枚とも頭に何も付かないシリアルナンバーのジャケットに入っていたので、出回っている情報と合っている。



 

マトリクス SWBO-1-101-J46 / SWBO-2-101-J45 #4  

 

 初版にあった綴りミスが直されたタイプ。マトリックスは少し進んでいる。スクラントンの工場でのプレスである。


 

マトリクス SWBO-1-101-J47" #3 / SWBO-2-101-J44" #3

 

 こちらも初版にあった綴りミスが直されたタイプ。やはりマトリックスは少し進んでいる。初版と比べ、レーベルの色が濃い。スクラントンの工場でのプレスであり、この2枚も頭に何もつかないシリアルナンバーのジャケットに入っていた。よって出回っている情報ではロサンゼルスの盤が入っているはずなので、情報には反している。