Love Me Do/P.S. I Love You

(45-R 4949)

発売日 1962年10月5日

 ビートルズの記念すべきデビューシングル。ジョージマーティンは当初、デビュー曲として「How Do You Do It」を用意しており、9月4日にこれを録音したのだが、ビートルズ自身は自分たちのスタイルとは違うと感じていた。そして同日にデビュー曲として録音したのが「Love Me Do」だったのである。

 「Love Me Do」はポールが10代の時に大部分を作り、サビをジョンの手を借りて仕上げた。レコーディング時には、ジョンがハーモニカを吹くパートをポールが替わって歌うなどの調整も行われ、デビューにふさわしい出来となったのだ。

 9月4日に録音を完了した「Love Me Do」であったが、ジョージマーティンがリンゴのドラムに納得がいかず、結局9月11日にドラムをセッションドラマーのアンディホワイトに替えて録音しなおしたのだ。この日はリンゴがタンバリンで参加している。そして2パターンが録音された「Love Me Do」は、結果的には2パターンとも世に出ることとなった。ここで紹介するデビューシングルには9月4日のリンゴがドラムを叩いたヴァージョンが採用されている。

 9月4日のリンゴがドラムのヴァージョンだが、当時2パターンあるヴァージョンの混乱を避けるため、マスターテープがすぐに処分されてしまった。だがこのヴァージョンのステレオミキシングは行われていなかったため、ステレオミキシングを行うことが永遠に不可能となってしまった。

 B面にはこちらも自作曲の「P.S. I Love You」が選ばれ、両面とも自作曲のシングルとなった。この曲もポールによって作られ、ヴォ―カルもポールである。「Love Me Do」を録り直した9月11日に録音されており、こちらもアンディホワイトによるドラムである。リンゴはマラカスで参加している。

 ジョージマーティンがEMI本社へ強く推したこともあり、新人としては異例の写真入り広告で宣伝され、17位というデビューシングルにしては輝かしい記録を打ち出した。この記録の裏には、ブライアンエプスタインが経営するレコード屋「NEMS」が1万枚を買い占めたという説があるが、当時の記録集計方法からしてそれが記録に反映されたとは考えにくい。

 パーロフォンのレーベルカラーがまだ赤色であったときにリリースされ、その後3作目からは黒色に変わるので、最初の2タイトルには特別感がある。「Love Me Do」も1963年以降のプレスはもちろん黒色に変わる。



 

マトリクス マザースタンパー 1GP / 1GR

 

 こちらも右側中心部のマーク下に「MADE IN GT.BRITAIN」表記が無いタイプ。タックスコードはデッドワックスに「ZPMT/ZPT」。B面のレーベルには「MT」とある。

 

 2種ある「MADE IN GT.BRITAIN」表記が無いもののうち、B面の作者名の「(Lennon-McCartney)」の「 ) 」が抜けていることである。抜けているタイプとあるタイプ、どちらが初版なのかはわからないが、あとから「 ) 」だけ抜いた(作業時にいじった)というのも考えにくい。