※ここは「The Beatles UK Single Record」のページであるが、このシングルのみドイツ盤がオリジナルであるため、例外としてここで説明する。
ビートルズが唯一、他国用にその国の言語で歌ったシングル。当時、西ドイツのEMIから「ドイツではドイツ語でなければ売れない」という強い主張があり、これをジョージマーティンが承諾したためレコーディングが実現した。結果ドイツで1位を獲得。
「Can't Buy Me Love」のページでも書いたが、ビートルズはこのときフランスで公演を連日こなしており、レコーディングもフランスのパリにあるEMIパテ・マルコーニ・スタジオで行われた。だが1月29日のレコーディング当日、ビートルズがなかなかスタジオに現れなかったため、ジョージマーティンがホテルまで迎えに行った。ジョン、ジョージ、リンゴの3人が乗り気でなかったのである。それでもジョージマーティンが説得し、どうにかレコーディングが行われた。
「Kumm, Gib Mir Deine Hand」は「I Want To Hold Your Hand」のドイツ語ヴァージョンであり、レコーディングは歌と手拍子のみ行われた。他は「I Want To Hold Your Hand」のものをそのまま流用した。
「Sie Liebt Dich」は「She Loves You」のドイツ語ヴァージョン。この曲も本来なら歌以外は流用で済ませられればレコーディングも楽であったが、そうはいかなかった。「She Loves You」のマスターテープが処分されていたためである。そのため、楽器も全て録り直されている。フレーズにも若干の違いがある。
2曲ともモノラルミキシングは3月10日、ステレオミキシングは3月12日に行われている。「Kumm, Gib Mir Deine Hand」は、アメリカのキャピトルもその存在に目を付けており、アメリカにもモノラルとステレオの両方が送られている。これらはアルバム「Something New」に収録された。
ドイツではちゃんとピクチャースリーブが付けられて販売された。また、アメリカの編集盤と同名同内容のアルバム「Something New」がドイツでもリリースされたため、そこでステレオヴァージョンも日の目を見ている。