From Me To You/Thank You Girl

　3作目にして、初の1位を記録したシングル。7週連続1位をキープした。

　ビートルズは1963年2月23日から2度目となるヘレンシャピロの前座として参加したツアーを行っており、「From Me To You」はそのツアー6日目にあたる28日に、シュルーズベリーの会場へ向かうバス内でジョンとポールによって作られた。タイトルは「NME誌」の読者投稿欄「From You To Us」からヒントを得てつけられている。

　「From Me To You」のレコーディングは3月5日に行われ、3月14日にモノラルミキシングが行われた。第7テイクが採用され、モノラルヴァージョンにはあとからイントロ部分にハーモニカがダビングされた。この盤にはそのモノラルヴァージョンが収録されている。ステレオヴァージョンにはこのダビングは行われていない。よってモノラル、ステレオ間には、イントロのハーモニカの有無という大きな違いがある。ステレオヴァージョンのリリースは、ミキシングが行われる1966年まで待たねばならない。

　　B面「Thank You Girl」もジョンとポールによる共作で、こちらも同ツアー時に作られている。当初レコーディング時までは「Thank You Little Girl」という仮名がつけられていた。レコーディングは「From Me To You」と同じ3月5日に行われたが、この曲は3月13日にもジョンによるハーモニカのみのレコーディングが行われている。ちなみにジョンはこの日風邪を引いており、前日の12日～14日までのツアーは、ジョン抜きで行われていた。そのときは「Please Please Me」をポールとジョージでヴォーカルを分けて演奏したという。モノラル、ステレオミキシングも13日に行われている。このときのミキシングで、モノラルには同日レコーディングされたハーモニカがイントロ、ブレイク部分にダビングされたが、ステレオには加えてサビ中のブレイク、エンディング部分にもハーモニカのダビングが行われた。よってこの曲もモノラルとステレオでは大きく印象が異なっている。

　このシングルからレーベルの色は黒に変わり、以降17枚目の「Lady Madonna」までこのレーベルデザインでリリースされる。

マトリクス　7XCE 17329 - 1N　/　7XCE 17330 - 1N　　　マザースタンパー　4RML　/　3ROT

　タックスコードはA面のレーベルに「MT」とある。2種あるリムが小文字のタイプのうち、左側真ん中にある「NORTHERN SONGS LTD.」という表記の「NORTHERN」の部分が右揃えであるタイプ。